小豆島で暮らし、はたらく。

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自営業・フリーランス

人が集まる理由は、
珈琲ではなく居心地かもしれない。

山本貴道さん

珈琲とおやつ「タコのまくら」

海を眺めながら珈琲を飲み、ゆっくりとおやつを味わう。
そんな何気ない時間の中で、人と人が出会い、言葉を交わし、新しいつながりが生まれていく。

小豆島の南側、坂手地区にある「珈琲とおやつ タコのまくら」は、そんな風景が自然と育まれる場所だ。店主の山本貴道さんは島へのUターン、妻のみゆきさんは山形県から移住。古民家を自分たちの手で改装し、2014年に店をオープンした。お二人が目指していたのは、単なるカフェではなく、人が集まり、つながる場所だった。もともと貴道さんはカヤックガイドとして活動していた。
季節によって人の流れが大きく変わる島の暮らしの中で、「もっと人が集まれる場所があったら」という思いが少しずつ形になっていったという。

構想から約6年。
古民家を改装し、自らの手でつくり上げたのがタコのまくらだった。
店で提供するのは、貴道さんが焙煎する珈琲と、みゆきさんが作るおやつ。派手な仕掛けがあるわけではない。
けれど、その時間を目当てに訪れる人がいる。
「お茶をする時間が昔から好きなんです。」
そう話す貴道さん。
忙しい毎日の中で少し立ち止まり、ほっとできる時間を誰かと共有したい。
そんな思いがお店づくりの根っこにある。
ライブやイベントを開くこともあるが、特別な催しがなくても人が集まる。
地元の人、観光客、移住者。
立場の違う人たちが同じ空間で時間を過ごしている。
それはお店が「消費する場所」ではなく、「関係が生まれる場所」になっているからかもしれない。

島で商売を続ける難しさもある。
夏は観光客で賑わう一方、冬になると人の流れは大きく減る。
だからこそ観光客だけではなく、地元の人に何度も足を運んでもらえる場所であることが大切だという。
小豆島で暮らしていると、海も山もすぐ近くにある。
散歩をしたり、夕日を眺めたり。
そんな何気ない時間が自然と気持ちを整えてくれる。
畑で育てた柑橘やキウイが店のメニューになることもある。
仕事と暮らしが遠く離れていないことも、この島らしい魅力のひとつだろう。

珈琲を淹れること。
おやつをつくること。
それ自体が仕事でありながら、その先には人と人をつなぐ役割がある。
タコのまくらで過ごす時間は、島で働くことが単に生計を立てるだけではなく、暮らしや地域との関わりの中にあることを教えてくれる。
人が集まり、誰かがほっとできる場所をつくる。
山本さん夫妻の仕事には、そんな温かさが流れていた。

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